【ご父母の皆様へ】進路について
「入りたい大学」を探す必要性~大学全入時代の到来に備えて
「18歳人口の減少」「大学全入時代の到来」がよく取り沙汰されますが、高等学校の現場では「『入れる大学』より『入りたい大学』へ」進学するよう、総合学習の時間などを利用して、職業研究・学部学科研究などに力を入れています。また、高大連携による学問体験も進んでいます。 同時に、大学でもより魅力ある大学を目指した大学改革を進めており、学部学科の内容や就職支援などの各種制度を充実させています。パンフレットを取り寄せたり、ホームページを見たり、オープンキャンパスに参加したりして、大学の比較検討をしていかねばなりません。また、本人の将来への希望を実現するためにはどういう準備が必要になるのか、どういう入試方式で受験するのか、などの研究も必要になってきます。
企業が学生に求めるもの~大学で身につけた能力と就職して求められる能力のギャップ
大学で身につけた能力と実際に就業してから求められる能力とではどの程度のギャップがあるのでしょうか。統計によると、大学生は学生生活で主に「誠実さ、集中力、融通性、順応性、自発性、自主性」といった人柄に関する能力を身につけたと自己評価していますが、実際に社会に出てみると「仕事への適応能力、問題解決能力、コミュニケーション能力、綿密性、精神力」などが必要であると感じるように変化します。実際、「企業が学生に求めるもの」の第1位は「コミュニケーション能力」となっています。人の話を聞いたり、自分の考えを人に伝えたりすることが苦手な若者が増えているとはよく言われることですので、何らかの訓練が必要になってきているのかもしれません。
また、企業では「基礎学力、責任感、積極性、行動力、ビジネスマナー」といった、社会に出るに当たっての基本的素養や人柄も求めています。こういった素質は就職活動のためにすぐ身につけられるものではありません。日頃から意識しておくことが大切です。 充実した高校生活を送ることが大学入試での成功に繋がるように、充実した大学生活を送ることが就職活動での成功に繋がると言えます。何のためにその大学に進学したのかという目的意識を持つこと、将来はどんな仕事に就きたいのかという目標を持つこと、自己分析を通じて自分への理解を深めること、職業研究を通じて職業観を養うこと、などが必要になります。 就職活動に備えて資格をたくさん取得する学生も多くいますが、資格は飾りではありません。どのような将来像を描いた上でその資格を取っているのかが明確でないと、採用面接時にアピール材料とはなり得ません。同様に、インターンシップ制度に参加を希望する学生が増えていますが、これも単位の取得を目的として参加しているようでは全く意味がありません。その前段階の準備(=将来像)があってこそ有効に働くのです。
大学に入学する前に卒業後のことも考えておかなければ、転部転学科や中退ということにもなりかねません。そうならないためにも、大学進学の時点である程度の考えを持っておくことが重要になります。
「就職率が高いから安心」は本当?~就職率を見るときの注意点
各大学の大学案内やホームページにおいて、必ずと言っていいほど就職率が掲載されています。就職率の高い大学に入学できれば安心と、単純に考えてもいいのでしょうか?
各大学の就職率を見るときに注意しなくてはいけないことがあります。それは、「就職希望者中の就職した人数」である場合が多いということです。卒業者で就職を希望しない人とは、大学院などへの進学を希望する者、海外留学を希望する者、国家試験など難関資格の取得を目指す者、家業を継ぐ者などが挙げられますが、それ以外にも、希望調査のタイミングによっては就職を諦めてしまった者も含まれることになるでしょう。フリーターやニートは大学でも問題になっているのです。
つまり、単純に就職率だけを見るのではなく、むしろ、資格取得や就職支援のためにどんなサポートを行っているのかといった部分をじっくり確認することが重要であると言えます。学科・専攻などに関連する資格取得のバックアップを授業内で行う場合もあります。また、ニート撲滅に向け、大学全体で取り組むケースも出てきており、自己発見から職業意識の高揚までを授業の一環として低学年時から行う大学も徐々に増えています。
就職率が高くても、あるいは、有名企業に就職している卒業生がいても、それは過去のデータであって、未来に対する絶対的な保証ではありません。将来や就職をにらんで大学を選ぶ場合、カリキュラムなども含めた広い範囲でサポート体制を確認することが欠かせないと言えます。