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大学での学びについて

「学校」と「大学」の学びの違い
受験勉強と言い換えてもいい「学校=スクール」である小・中・高までの学習と、「大学=ユニバーシティ」に入ってからの学習には決定的な違いがあります。そのことを高校生の段階からきちんと踏まえておくべきだ思います。非常に単純化して言えば、高校までは必ず正解がある勉強をしている。問題を解いて正解がある。何かを暗記して、それをきちんと試験のときに書ける。

いかに短時間で正解にたどり着けるかと言ってしまってもいいくらいです。それは否定されるべきものではなく、やはり基礎的な知識として当然、大人になって持つべきだろうと思われる内容が、高校までの学習の中に組み立てられていますので、きちんとやっておかなくてはなりません。 では、大学は何が違うのか。もちろん、大学でも高度な知識や技能を覚えるという学習は行います。大きな違いは、自分で問いをたて、自分なりに答えを見つけ出していく、その方法を学問を通じて学び、身につけていくという点です。そういうことを高校生にも知ってほしいと思います。

大学を卒業して世の中に出て、答えのあることのみを「仕事」としてできる人はほぼ皆無ではないでしょうか。どうしたらいいかわからない問題に突き当たったとき、どうやって解決して、一番いい方法を見出していくか。就職すれば、そんなことは自然に鍛えられていく側面かもしれませんが、そこへの移行期に位置するのが大学での学びだと思います。

「大学での学び」とは何かを知っていることが重要
大学では卒業論文を書くとか卒業研究をするということを課してきました。自分は何に関心があって、何が解けない問題なのか。それに対して自分でどうアプローチして、自分なりの解決策なり答えを見出すか…というのが「研究」です。解決策を見出すときは思いつきでは駄目で、一定の手順、大学で言えば、学問的な考え方の方法なり解き方の手段なりが、それぞれの専門領域の手順としてあります。 自分の立てた問いに対して、新しい考え方や大学というフィールドで学んだものを、自分なりにツールとして使いこなして解答を導き出す。そこが先に述べたように、正解のある問題集を解く「学校」での学びとの大きな違いです。
大学では、問題集を解く生活とは違うことが起きます。答えのある勉強をして、正解率何%を学習成果の目安にしてきた「生徒」から、いち早く脱却し「学生」として学ぶ姿勢が大切です。

データでは見えない大学選びのポイント
ここまでの話で、大学での学びの一端についてはご理解いただけたかと思います。最後に、大学選びのポイントをいくつか挙げておきます。
大学進学率が低く、かつ「狭き門」だった時代は、送り出す高校側はむろん、受験生自身や親御さんも「浪人しても志望大学へ行くのは当然」という感覚がありましたが、今は難関大学でない限り、そのような感覚はありません。あえて言えば、高校の進路指導では、とにかく現役で入れるところに送り出そうとする。推薦で入れそうなところがあれば、「無理をせずに、ここ、どう?」という進路指導がなされてもいます。
大学選びにあたり、学力に若干の不安がある場合、初年次教育などに力を入れているかどうかがポイントになるでしょう。確かに就職率も大事ですが、その大学がどういう教育をやろうとしているのか、大学総体として、どういう教育をやって、どういう学生を育てていこうとしているかについて、明確なメッセージを持っているかどうかを考える必要があります。

また、文部科学省は、これまで大学のすぐれた教育の取組みに対してそれを継続すべく助成金を出すなどの支援をしてきました。GP(Good Practice:優れた取組み)事業といい、このGPに選ばれた大学かどうかも、大学選びのポイントになると思います。入学時の偏差値がそれほど高くない大学でも、そういうことに非常に熱心な取組みをしているところがあります。入学時点での学力偏差値は低いものの、「4年間でこれぐらいに成長させる。そのために、これだけの教育をやっています」というような大学はいくつもあります。日本の場合、学生や大学を偏差値だけで評価してしまう傾向にあり、付加価値をつけることに対する社会からの注目の度合いは非常に弱いのが現状です。出口の部分での評価ではなく、入口の部分の評価が出口の評価にまで影響を及ぼしています。

大学は、子どもから大人への転換をするための装置であり、教育のやり方によって、大学生は驚くほど変わるものです。中堅クラスあるいはそれより偏差値の低い大学でも、4年間でどれだけ引き伸ばせるか、どれだけ力をつけるかということに対して、さまざまな取組みをやっているところが増えており、実際に成果を上げています。そういう大学は全国マーケットの労働市場にのらないため、世間の目に触れる機会が少なく、「あそこは偏差値40の大学でしょ」のような言い方をされることが多いようです。
しかし、地元の企業にちゃんと正規雇用で採用されています。そういうローカリティの中では、入口の偏差値に関係なく、非常に高い評価がなされているということを知っていただきたいと思います。

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