【高校3年生のご父母の皆様へ】私大入試の概要
私立大学の入試について
多種多様な私立大学の入試
私立大学の入試も、大別すると国公立大学と同じように一般入試と推薦入試、AO入試に分けられます。ここではメインとなる一般入試の状況についてまず確認していきましょう。
私立大学の一般入試では国公立大学のように統一した入試日程は設定されていません。各大学が自由に入試日程、選抜方法を設定しています。また、国公立大学と違い、試験日が重ならなければ何校でも受験することができるのも私立大学入試の特徴でしょう。
この一般入試も各大学で試験を実施する「一般方式」とセンター試験の成績を活用する「センター試験利用方式」に大別できます。
メインは1月下旬から実施される一般方式
私立大学の一般方式は主にセンター試験が終わった1月下旬から2月中旬に設定されています。
実施方法は大学によりさまざまですが、文系学部は英語・国語・地歴(公民)または数学から3教科、理系学部は英語・数学・理科の3教科を課すパターンが一般的です。最近では入試科目や配点に工夫をこらし、各大学・学部の特性に応じた入試方式を実施しているところも多く、私立大学入試は多様化しています。1つの学部・学科で2~4種類以上の入試方式をもつ大学も少なくありません。
代表的なものとしては、入試科目を1~2科目としたり、特定科目の配点比率を高くする方式があります。受験生から見れば科目を絞って勉強することができるうえ、得意科目を活かせる入試となっています。このほか、学科試験を課さずに小論文や論述試験で選抜する方式や、英語(英検、TOEIC等)や日商簿記などの資格取得者に点数を加点する方式なども導入されています。
ただし、メインは3教科型入試で、方式ごとの募集人員も3教科型入試の比重が高い大学が多くなっています。
あくまでも3教科型入試の対策を基本としたうえで、他の入試方式は自分に適した方式があれば上手に利用するとよいでしょう。
試験日自由選択制度や学外試験会場の設置も
私立大学の入試がピークとなる2月上旬頃は同じ日に全国各地で入試が繰り広げられているため、志望校の試験日が重なってしまうこともよくあります。
このような問題を解消するため、多くの大学が設定しているのが「試験日自由選択制」です。試験日を2日以上設定しておいて、受験生が都合のよい日を選んで受験できるようにしています。大学によっては、複数の試験日を受験することを認めている大学も多くあります。
また、受験生が受験しやすいように試験会場をキャンパスの所在地域以外に設置する大学も多くあります。全国の主要都市に会場を設置している大学もあり、直接大学まで行かなくても近隣で受験が可能となっているのです。
交通費や宿泊費を節約できるだけでなく、時間的・体力的な負担も減らせるため受験生にとっては便利な制度といえます。
うまく活用したいセンター試験利用方式
2008 年度にセンター試験を利用する入試を実施した私立大学は466 大学で、全私立大学の約8割が実施していることになります。
私立大学のセンター試験利用方式は、一般方式と比べると募集人員が少ないことが多く、難関大学ではボーダーラインも高めとなりがちですが、現在の私立大学の受験戦略として「センター試験利用方式」の活用は欠かせないものとなっています。
その理由は、ほとんどの大学が大学独自の試験を実施せずセンター試験の結果だけを合否の判断材料としているからです。
つまり、センター試験さえ受験していれば、大学へ赴くことなく私立大学の併願が可能となるのです。国公立大学を第1志望としている受験生にとっては過度な私立大学の受験対策が必要なくなりますし、私立大学専願者にとっても受験チャンスの拡充につながるでしょう。
また、大学が独自の試験問題を作成する手間がかからないことから受験料は一般方式と比べ安価に設定されているケースがほとんどで、受験生にとっては労力、時間、金銭面でメリットがあるおいしい入試方式といえます。センター試験の必要科目数は一部の難関校で4教科以上としているところがあるものの、多くは3教科以下となっています。
また、一般方式と同様に教科数や出願期間を変えて複数のセンター試験利用方式を設定している大学も多くあります。
センター試験利用方式で注意したいのが出願期間です。国公立大学の一般入試はセンター試験後となっていますが、私立大学の場合は大学により出願期間が異なります。センター試験前に出願を締め切る大学も多くあり、その場合はセンター試験の結果を踏まえての出願ができません。
コラム~センター試験が必須の私立大学も~
ごく一部ですが、私立大学にも一般入試はセンター試験が必須という大学もあります。産業医科大学、豊田工業大学や一部芸術系の大学では、センター試験を必須化しています。
最後まで諦めない~2期(後期・3月)入試~
2月下旬から3月にかけて再度入試を実施する大学も多くあります。大学により呼び方は異なりますが、「2期入試」「後期入試」「3月入試」などの名称がつけられていることが多くなっています。
前期試験の合格発表が終了してから出願できるため、「敗者復活」的な意味合いが強い入試となっています。
ただし、募集人員が少なく、大学によっては高倍率となり前期試験と比べると難度の高い入試となることもあります。
あくまでも前期試験で志望校に合格できなかった場合に利用する入試として考えてください。